慰謝料算定の実務
慰謝料算定実務のバイブル!『慰謝料算定の実務』
千葉県弁護士会の書籍のご紹介です。
『慰謝料算定の実務【第2版】』の特色
慰謝料算定実務のバイブルが、11年を経て待望の改訂!慰謝料実務書の決定版!!
- 慰謝料が争われたあらゆる分野の裁判例を収集し、徹底的に分析。慰謝料額の決定に考慮される要素、算定の傾向と対策を解説。
- 旧版発刊以降11年間の慰謝料請求事案、弁護士へのアンケート結果などを踏まえ、更に研究を深めた決定版。
- 分野ごとの判例分析結果一覧表、アンケート結果のまとめも収録。
慰謝料算定の実務【第2版】
千葉県弁護士会編
A5版・定価4,104円(本体3,800円+税)
※ご注文は以下のHPより申し込めます。
「刊行にあたって」より
本書は、当会が担当会となって、関東十県会の平成25年度夏期研究会に向けての研究成果をまとめたものです。
関東十県会の夏期研究会というのは、東京高裁管内の13の弁護士会のうち、東京三会を除く10の弁護士会が毎年交替で担当して、研究成果を発表するために開催しているものです。
昭和63年3月に発行された「関東十県会三十年の歩み」によれば、夏期研究会において研究成果の発表が行われるようになったのは、昭和43年度からとなります。当会では、昭和47年度に「慰謝料額の現状とその決定要因」(論文編と資料編)を出版し、近年では平成14年度に「慰謝料算定の実務」を出版しました。
当会は、平成23年11月に実行本部を結成して、夏期研究会への準備を始めました。研究テーマについては、平成14年度に出版した「慰謝料算定の実務」が、実務家のみならず学者の皆様からも高い評価をいただいたこともあり、再びこれをテーマとし、その改訂版を出版することに決まりました。
慰謝料の算定は、実務上ますます重要性を増し、法律実務家の関心も高まっています。今後、本書が広く活用されることを願っています。
最後に、ご多忙の中、出版に向けてご指導いただいた兵庫県立大学の齋藤修教授、アンケートにご協力いただいた関東十県会会員の皆様、出版に向けてご尽力いただいた株式会社ぎょうせいの担当者の皆様、そして執筆及び編集を担当された会員並びに当会職員の方々に心から感謝いたします。
2013年(平成25年)8月
平成25年度千葉県弁護士会会長 湯川芳朗
「はじめに」より
本書は、当会の担当による平成14年度関東十県会夏期研修会での慰謝料算定に関する研究成果をまとめた「慰謝料算定の実務」(ぎょうせい刊)の全面的な改訂版として発表したものです。
旧版の出版から10年以上が経過する中で、新たな裁判例が多数集積されるとともに、新たに注目されるようになった分野や議論がより深化した分野が現れてきたこと、また裁判官や研究者の方々などから改訂を望む声が少なくなかったことなどから、旧版の全面的な見直しの必要性を感じていました。折しも平成22年、兵庫県立大学の齋藤修教授をはじめとする慰謝料研究の第一人者の方々によって執筆された労作「慰謝料算定の理論」(ぎょうせい)が刊行されたことも大きな刺激となりました。このようにして、11年ぶりに当会が夏期研究会の担当となった本年度、再び慰謝料を研究テーマとして取り上げ、その最新事情の研究成果を盛り込んで旧版を全面的に書き改めた次第です。
本書執筆にあたっては、旧版と同様に、交通事故訴訟の実務において慰謝料算定の基準として確立されている「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(いわゆる「赤い本」)が、本書で取り上げた各分野での慰謝料算定にあたりどのような影響を与えているのか、その基準額を増減させる具体的事情にはどのようなものがあるのかといった点を意識しました。これは、損害賠償の問題に日々直面している法律実務家が、具体的な事案において適正な慰謝料を算定するにあたっての有用な指針となるのではないかと考えたからに他なりません。
本書の構成は、基本的には旧版を踏襲していますが、章立てを15から18へと増やしました。具体的には、「ハラスメント」の章を独立して設け、旧版では「男女関係」の章に含めていたセクシュアルハラスメントに加えて、近時新たに問題とされるようになったパワーハラスメントなどの各種ハラスメント問題をまとめて整理したほか、「公害・薬害」と「専門家責任」をそれぞれ独立の章として記述を深めるなどの試みをしています。さらに旧版同様に、判決に至らず和解等で終了した事案での慰謝料の傾向等を探るために、弁護士に対するアンケート調査の結果を分析している章(「男女間のトラブル」、「刑事事件(犯罪被害者)」)もあります。
このように本書を世に送り出すことができたのは、執筆を担当した当会を支える中堅から若手までの多くの会員の渾身の努力と、膨大な執筆原稿の全体的整合性を図るという観点からまとめ上げた編集委員会のメンバーによる昼夜を問わない精力的作業の賜であり、当会の英知の結集の成果と自負しています。しかし、本書が多くの会員によって分担して執筆されたことから、各章の構成や裁判例分析の方法等が全体として必ずしも一致していないところがあることは否めず、その点はご容赦ください。
最後に、本書が、法律実務家のみならず、研究者、学生、損害保険等の賠償実務に携さわる方々などに幅広く利用されるとともに、具体的な事案の解決のための文献としてだけでなく、今後、裁判上、裁判外を問わず、慰謝料の算定が被害の実態に即して適正に行われていくことの一助になることを心から希望するものです。
2013年(平成25年)8月
平成25年度関東十県会夏期研究会「慰謝料算定の実務・改訂版」編集委員会 委員長 篠崎純
「あとがき」より
早いもので一昨年の10月、当会の関東十県会夏期研究会実行本部が設立されてから、1年10カ月が経過しようとしています。
実行本部の最初の仕事は、研究会のテーマを決定することでした。会員からのアンケートの結果、11年前に当会が編集した「慰謝料算定の実務」を改訂することとなりました。自画自賛になりますが、「慰謝料算定の実務」は、裁判官・弁護士などの実務家から高い評価をいただきました。あとがきには、「売れる本」の作成を合い言葉に編集を行ったと記載がありましたが、まさに「売れた本」であり、そして皆様の「役に立つ本」でした。
今回の改訂にあたっては、「旧版に負けない本」の作成を目指しました。弁護士人口増加の思わぬ恩恵か、11年前とは執筆に関わる会員の面々が大きく変わっただけではなく、150名を超える会員の総力を結集しての一大作業となりました。
執筆作業を開始するにあたり、平成24年5月11日にプレシンポジウムを開催しました。そのシンポジウムでは、「慰謝料算定の理論」の編集者であり、慰謝料研究で実績のある兵庫県立大学の齋藤修教授には「現代社会と慰謝料」、中央大学法科大学院教授・弁護士の升田純先生には「名誉毀損・プライバシーの侵害による慰謝料の算定の法理と実務」という演題でご講演をいただき、多いに啓発を受けるとともに、その後に迫り来る膨大な作業への強い思いを持つことができました。
年も明け、夏期研究会の開催が近づく中、平成25年7月、ようやく最終原稿を入稿するところまでたどり着くことができました。あとは本ができあがってくるのを待つばかりです。執筆に携わった多くの会員には、この場を借りて心から敬意を表する次第です。
最後に、「慰謝料算定の実務」を出版するに当たり多大なご苦労をいただいた株式会社ぎょうせいの関係者の皆様に感謝するとともに、日常業務を犠牲にして連日連夜に亘って編集作業に携わった編集委員の労をねぎらいつつ、本書が「旧版に負けない本」・「売れた本」・「役に立つ本」という評価を受けることを祈念して筆を置きます。
2013年(平成25年)8月
平成25年度関東十県会夏期研究会 実行本部本部長 齋藤和紀